賃貸に住み続けるのが得なのか、マンションや一戸建てを購入するのが得なのか疑問をお持ちの方も多いはずです。
賃貸物件を借りる場合のハードルはさほど高くありませんが、購入となれば話は別です。
おそらく、人生の買い物の中で一番高額になる事は間違いありません。
今回は、持ち家VS賃貸物件どちらがお得なのかを現役不動産会社の私が徹底解説致します。
この記事を読むとわかること
持ち家と賃貸物件の費用の比較と生涯かかってくる費用がわかります。
持ち家と賃貸物件の双方のメリット・デメリットがわかります。
持ち家を購入するのであれば購入するタイミングがわかります。
持ち家と賃貸物件の費用の比較
2022年現在の日本人の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳となります。
30歳で結婚したと仮定した場合、住居を必要とする年数は50年以上になる計算になります。
そこで、今回は50年間住み続けた場合で計算して行きたいと思います。
持ち家の場合の必要費用
持ち家でかかるであろう生涯金額は、5,000万円の物件でおよそ7,340万円となります。
住む地域によって若干異なりますがざっくりした計算で下記のような金額になります。
購入時に必要な費用
購入費用諸費用250万円
ローンで購入する場合のローン金利代金が約540万円
固定資産税・都市計画税の支払い400万円
火災保険料100万円
リフォーム代総額1,000万円
■不動産購入の際にかかる費用
マンションや一戸建てを購入する際に必要な購入費用は下記になります。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬(建売住宅の場合) | 1,716,000円 ※物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
印紙税 | 売買契約書、工事請負契約書に貼る印紙代 | 1万円 ※現在は軽減処置がある為本来は2万円(5,000万円以下) |
不動産取得税 | 不動産取得時に発生する税金 | 0円~固定資産税評価額の3% |
表示登記(新築物件の場合) | 不動産登記の表題部になされる登記 | 約90,000円 |
登録免許税 | 登記に必要な税金 | 固定資産税評価額の0.1~2% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 10万円前後 |
■住宅ローン利用にかかる費用
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
印紙税 | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代 | 2万~4万円 |
登録免許税 | 抵当権設定登記に必要な国税 | 借入額の0.1~0.4% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 4万~8万円 |
ローン手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 3万~5万円 |
ローン保証料 | 保証会社に支払う保証料 | 借入額の0.5~2%程度 |
火災保険料 | 住宅ローン利用時には原則として必須 | 契約内容によって異なる |
■毎年かかる費用
不動産を取得していると「固定資産税」と「都市計画税」の費用が発生します。
固定資産税と都は、毎年1月1日の時点での土地・建物の所有者に課せられる税金となります。
ここでは、詳しい話は割愛しますが、おおよそ5,000万円の物件では、毎年20万円弱の費用がかかると考えられます。
また、一戸建てやマンションを所有した場合には、自治会費の支払いも必要となります。
地域によって様々ですが月額で500円〜2,000円位が相場かと思います。
■定期的にかかる費用
一戸建てやマンションを所有する場合には、「火災保険料」の加入が望まれます。
火災保険料は10年毎に契約するケースが多く費用は20万円前後になります。(保険内容により異なります)
また、年数が経てばリフォーム代金や外壁の塗装代などもかかってきます。
リフォームは新築購入から、最初は15年後が一般的でその後は10年〜15年毎に費用が必要と想定すると良いかと思います。
リフォーム内容により費用は異なりますが、室内のリフォーム工事で200万円、外壁塗装等の大きな工事も含めば500万円程度必要になる場合が多いです。
賃貸物件の場合の必要費用
賃貸物件で家賃10万円の物件を50年間借りた場合の費用は、およそ6,300万円です。
賃貸物件の場合は計算はしやすいですが、今回は1物件に付き15年住む計算で3階引越する事を過程として計算します。
物件を借りる際に必要な費用
内訳 | 費用の相場 |
敷金 | 20万円 賃料の2ヶ月分 |
礼金 | 10万円 賃料の1ヶ月分 |
日割り家賃 | 入居日(月末までの日数)によって異なる |
前家賃 | 10万円 |
仲介手数料 | 11万円 家賃の1ヶ月分+消費税 |
火災保険料 | 1万5,000円~2万円 |
保証会社初回保証料 | 5万円 賃料の50% |
鍵の交換費用 | 1万円~2万円 |
合計金額 | 約60万円 |
引越する際の引越費用
賃貸物件から引越する場合の費用になります。
今回は、同市内のファミリー向けの引越費用で考えます。
引越費用は4人家族の同市内の相場が約10万円となります。
引越回数3回と考えると約30万円程が必要となる計算になります。
毎月かかる費用
賃貸物件を借りるのであれば当然家賃が必要となります。
10万円×12ヶ月=120万円(年間の家賃)
120万円×50年=6,000万円(50年住んだ場合の家賃総額)
また、賃貸物件を借りる場合ファミリー向けの物件であれば自治会費も必要になる場合が多いです。
自治会費は、購入する場合と同じく、月額500~2,000円が必要になる場合が多いです。
持ち家のメリット・デメリット
持ち家にはメリット・デメリットが存在します。
持ち家のメリット
・賃貸物件よりも内装や設備などのグレードが高い。
・自分の好きな設備や間取りに変更する事が出来る。
・資産として残す事が出来る。
・不動産を担保にして融資を受ける事が出来る。
・共同住宅と違い家の中で家族以外の音を気にしなくてもすむ。
・団体信用生命保険に加入していれば、万が一死亡した場合に住宅ローンがなくなり家族の負担がなくなる。
持ち家の最大の魅力は、資産を残せるという点です。
ローンの支払いが完了すれば、建物と土地が自分の資産となります。
また、注文住宅の場合は新築時から自分の好きな間取りを作ることもできる事や、建売住宅でも購入後、年数が経ってから自分の好きなようにリフォーム出来る事も魅力の一つです。
持ち家のデメリット
・購入した後に近隣トラブルがあったりしても簡単に引越しする事が出来ない。
・家や設備が古くなった場合にリフォームする金額が必要になる。
・固定資産税や都市計画税などの税金がかかる。
・近所の付き合いや町内の行事等にも参加が必要になる場合がある。
・不動産(土地)などの価値が変動する可能性がある。
持ち家の最大のデメリットは簡単に住替えする事が出来ない事です。
お金が有り余っているのであれば別ですが、ほとんどの方にとっては一生に一度の買い物になる為、近隣に不良住人がいた場合など、簡単に住替える事が出来ません。
また、仕事で転勤が多い方や引越し好きの方にもおすすめは出来ないかもしれません。
他にも、建物の老朽化による、外壁塗装や、室内のリフォームなどに費用が必要になります。
計画的に貯蓄をしておかないといざという時に対応できません。
賃貸物件のメリット・デメリット
次に賃貸物件のメリット・デメリットを見ていきましょう。
賃貸物件のメリット
・住む際の初期費用が安い
・引越しが気軽に出来る
・借入する必要がない
・設備などのメンテナンスが不要
賃貸の最大のメリットは、何と言っても気軽に住み替えができることです。
もちろんお金はかかりますが、不良入居者がいたとしても持ち家と違いすぐに引越しができますし、子供が自立したら狭い部屋に引越しして家賃を抑える事も可能です。
また、経年劣化の設備は大家さんが直してくれますので、費用がかかりません。
物件が古くなったとしても新しい所に引越しすれば何度でも新築物件に住むことが出来ます。
賃貸物件のデメリット
・いくら家賃を払っても自分の資産にはならない
・年齢によっては契約を断られることがある
・設備のグレードが持ち家には劣る
・隣接した部屋の騒音問題の可能性がある
・自分の好きにリフォームが出来ない
賃貸物件の最大のデメリットは家賃を払い続けても自分のものにはならないという点です。
また、建て壊しなどで物件を出て行かなければならなくなった時に高齢だと部屋を借りられなくなってしまう可能性もあります。
他にも、不動産を担保にお金を借りるなども出来ません。
賃貸物件は気楽な分、デメリットも多いかと思います。
持ち家と賃貸、それぞれに向いている人
自分はどちらが向いているのか、ぜひチェックしてみてください。
持ち家に向いている人
・安定した仕事についている
・転勤が多くない仕事の方
・音が気になる方
・快適な部屋に住みたい方
賃貸に向いている人
・ローンを組みたくない方
・転勤が多い方
・色々な物件に住みたい方
・こだわりのない方
持ち家と賃貸の比較
■■持ち家の場合■■
項目 | 費用 |
物件費用 | 5,000万円 |
購入時の必要費用 | 250万円 |
固都税 | 400万円 |
ローン金利(35年払い) | 540万円 |
保険料(10年×5回分) | 100万円 |
リフォーム代・維持費 | 1,000万円 |
合計金額 | 7,290万円 |
■■賃貸物件の場合■■
項目 | 費用 |
家賃 10,000円想定 50年 | 6,000万円 |
賃貸契約初期費用 5回分 | 300万円 |
引越し費用 | 40万円 |
保険料更新 2年×25回 | 50万円 |
更新料等 | 250万円 |
一般設備以外のエアコン費用 | 100万円 |
合計金額 | 6,740万円 |
3,000万円台なら絶対に持ち家
地方都市などでは、建売であれば3,000万円台で新築が購入できます。
3,000万円で購入出来ればボーナス払いなしでも月額80,000円以下で購入可能です。(35年ローンの場合)
賃貸物件で80,000円以下のファミリー物件を探すのはかなり難しいと思います。
それが、賃貸よりも安くさらに新築で買えるわけですからお得と言えるでしょう。
まとめ
持ち家VS賃貸物件は金額だけで言えば持ち家の方がお得になる事の方が多いようです。
持ち家と賃貸はよくどちらが得なのか比較されますが、購入費や家賃によって変わってきますが、同条件であれば持ち家の方が得と言えるでしょう。
ですが、実際には住む方の生活スタイルや考え方によって賃貸を選ぶのもひとつの手段かと思います。
また、住宅ローンの選び方などによっても総支払金額が大きく変わります。
持ち家を購入するのであればやはり「住宅無料相談窓口」などに相談する事をおすすめします。
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