賃貸物件を借りる時によくプロパンガスは高いので都市ガス物件の方が良いと耳にする事があります。
ですが正直なところ、都市ガスとプロパンガスで比較した時に、どのくらいの費用の違いがあるのか、本当にプロパンガスよりも都市ガスの方が料金が安いのか明確に理解している方も少ないと思います。
では、本当に都市ガスとプロパンガスでは都市ガスの方がお得なのでしょうか?
今回は、都市ガスとプロパンガスのどちらがよりお得なのか料金の違いから、メリット・デメリットまで徹底解説します。
是非、賃貸物件を借りる際の参考にしてください。
この記事を読むと
都市ガスとプロパンガスの料金の違いがわかります。
都市ガスとプロパンガスを比較してどちらが物件数が多いのかがわかります。
部屋を探す時、ガスの種類にこだわっている人に参考になります。
都市ガスとは??プロパンガスとは??
まずはそもそも、都市ガスとプロパンガスとはどういったものなのかを見ていきましょう。
都市ガスとは
都市ガスとは、主に天然ガスや液化天然ガスを原料として作られ、環境にやさしいとされています。
主な成分はメタンガスで、空気よりも軽く無色・無臭なのが特徴です。
配給方法は地中に埋設した導管から住宅やマンションや施設などに供給されます。
プロパンガスとは
プロパンガスは、プロパンと呼ばれる炭化水素の混合物であり、主に石油や天然ガスから抽出されます。
プロパンガスは、高いエネルギー密度と燃焼効率があり、一般家庭の他、飲食店や工場などで利用されます。
都市ガスとは違い、ボンベやバルクタンクなどを設置して供給されます。
また、プロパンガスは空気よりも重いのが特徴になります。
ガス料金の仕組み
ガスの料金はどのように計算されているのでしょうか?
ガス料金は、「基本料」「単位料金(単価)」「使用料」で計算されます。
計算式にすると ガス料金=基本料金+単位料金×ガス使用量となります。
ガスの基本料金や単位料金は、同じ都市ガスであっても地域や会社によって異なります。
例:東京ガス料金表
都市ガスとプロパンガスのメリット・デメリット
次に、都市ガスとプロパンガスのメリット・デメリットについてみていきましょう。
都市ガスのメリット
都市ガスのメリットとしては以下のようなことが挙げられます。
都市ガスのメリット
・一般的にガス料金が安い
・料金形態が明確
・環境にやさしい
・設置場所をとらない
ガス料金が安い
都市ガスは、プロパンガスと比べると料金が安いと言われています。
後ほど詳しく説明しますが、一般的にはプロパンガスの3分の2程度と言われています。
どうして都市ガスの方が安くなるのかというと、配給方法の差になります。
都市ガスはガス会社があらかじめ埋設したガス管を通じて各家庭に供給されます。
その為、メンテナンス料金はかかるものの、プロパンガスのように運搬費用や人件費が削減されるため安く供給できるのです。
料金形態が明確
都市ガスは料金が明確なのが特徴です。
賃貸物件の場合、同じエリアで都市ガスを利用する場合、どの物件に住んでいても料金は変わりません。
もちろん、使用量などによって金額は異なりますが、基本料や単価の基準は同じになります。
ですが、プロパンガスの場合は、同じ会社であったとしても、物件によって料金が異なる場合があるのです。
その為、都市ガスの方がガス料金の費用をあらかじめ試算することが可能です。
環境にやさしい
都市ガスはメタンが主成分なので、燃焼後のCO₂の排出量がプロパンを主成分とするプロパンガスよりも少ないとされています。
その為、プロパンガスよりも環境に良いといわれています。
設置場所をとらない
都市ガスは、ボンベやバルクタンクなどを設置する必要がない為、敷地を有効活用することが可能です。
賃貸物件の場合であれば、共有部分が広く使える可能性が高くなります。
都市ガスのデメリット
都市ガスのデメリットは以下の通りです。
都市ガスのデメリット
・物件数が少ない
・家賃が高く設定されている場合がある
・災害時の復旧が遅い
物件数が少ない
都市ガスの物件とプロパンガスの物件と比較すると、圧倒的にプロパンガスの物件の方が多くなります。
都市ガスは、文字通り都市部で利用されるガスになります。
東京などの大都市では、かなりの広範囲で都市ガス用のガスの導管の整備がされている場合が多いですが、地方都市であれば主要駅から離れれば都市ガス専用の配管が整備されていない場合が多く、プロパンガスを利用しなければいけなくなります。
また、その為、都市ガス限定で部屋を探そうとすると物件の数が制限されてしまいます。
家賃が高く設定されている場合がある
都市ガスの物件はプロパンガスの物件よりも家賃が高く設定されている場合があります。
これは、賃貸物件の仕組み上の問題があります。
賃貸物件の所有者(家主)は、入居者からの家賃収入の中から古くなった設備品(エアコン・ウォシュレット・TVインターホン・給湯器など)の修繕をする必要があります。
都市ガスの会社よりもプロパンガスの会社の方が、設備品の保障が手厚いのです。
どういうことかと言うと、エアコンが壊れたりした場合には、プロパンガス会社を利用していれば無償でガス会社がエアコンの取り換えなどを行ってくれるのです。
都市ガスの場合には、設備の保障が薄い為、物件所有者(家主)は、設備交換費用なども計算して家賃の設定をする為、都市ガスの方が家賃が高くなる場合があります。
また、上記の理由から、物件所有者は都市ガスよりもプロパンガスを好んで利用されます。
災害時の復旧がおそい
都市ガスは災害の際に復旧に時間がかかることがあります。
東日本大震災の際には復旧に2カ月かかった地域もあり、大きな災害があった場合にガスが利用出来なくなる可能性があるというデメリットがあります。
プロパンガスのメリット
プロパンガスのメリットは以下の通りです。
プロパンガスのメリット
・対応エリアが広い
・災害時に強い
・火力が強い
対応エリアが広い
プロパンガスの最大のメリットは対応エリアが広い事です。
先程説明した通り都市ガスは、都市ガスの導管が設置されている場所でしか利用できない為、供給エリアが限られてしまいます。
ですが、プロパンガスは、液化されたガスをガスボンベに詰め配送しています。
そのため、ガスボンベとガス管・ガスメーターなどのカンタンな設備が揃っていればすぐに使用することができます。
その為、プロパンガスは工事さえ出来ればどこでも利用が出来るという事になります。
災害時に強い
プロパンガスは、ボンベで配送可能なため、災害時に強いと言われています。
都市ガスと比べてプロパンガスの配管は短く、破損したとしても修復にかかる時間が短くてすみます。
また、賃貸物件などでは「災害対応型LPガスバルク供給システム」を利用しているものもあります。
簡単に言うと災害時にもガスを利用できるシステムがあるということです。
火力が強い
プロパンガスは都市ガスよりも、2.2倍の熱量があると言われています。
よく中華料理店などはプロパンガスが利用されているのはその為です。
賃貸物件において、料理などで火力を求めるのであればプロパンガスを選ぶようにしましょう。
都市ガスとプロパンガスの料金の比較
ここが一番知りたいところだと思います。
都道府県やプロパン会社によって金額は違いますが、全国の平均値で見ていきましょう。
都市ガスの平均料金
ガス代金は、「基本料金」と「単価」と「使用料」で金額が決まります。
使用料は個人差がある為、基本料金の平均と、単価でみていきましょう。
基本料金 | 従量単価 |
900円前後 | 200円~300円 |
例えば、都市ガスで1ヶ月10㎥を利用した場合にかかる費用は900円(基本料金)+300円(従量単価)×10(ガス使用量)=3,900円となります。
プロパンガスの平均料金
次にプロパンガスの平均料金を見ていきましょう。
基本料金 | 従量単価 |
1,916円 | 697円 |
プロパンガスの全国平均価格は、基本料金が1,916円 従量単価が697円です。
例えば、プロパンガスで1ヶ月10㎥を利用した場合にかかる費用は1,916円(基本料金)+697円(従量単価)×10(ガス使用量)=8,886円となります。
ここで注意しなければいけない点があります。
金額だけで見ると倍額違いますが、プロパンガスの熱量は都市ガスに比べて2倍あるので、実際には全く同じガスの使い方をしてもプロパンガスは使用料が少なくなるのです。
数字だけで見ると倍額違いますが、実際にはそこまでの違いはありません。
都道府県ごとの料金比較
各都道府県によって、都市ガスもプロパンガスも金額が異なります。
都市ガスは、関東地方が最も安いと言われていますが、そこまで金額に大きな差は出ませんがプロパンガスは地域によってかなりの金額の差が出てきてしまいます。
順位 | 都道府県 | 基本料金(円) | 従量単価(円) | ガス料金(円) (10m3使用) |
---|---|---|---|---|
1位 | 東京都 | 1,805円 | 603円 | 7,835円 |
2位 | 埼玉県 | 1,800円 | 611円 | 7,910円 |
3位 | 千葉県 | 1,808円 | 616円 | 7,968円 |
4位 | 大阪府 | 1,842円 | 615円 | 7,992円 |
5位 | 奈良県 | 1,892円 | 619円 | 8,082円 |
6位 | 群馬県 | 1,818円 | 628円 | 8,098円 |
7位 | 栃木県 | 1,747円 | 637円 | 8,117円 |
8位 | 茨城県 | 1,763円 | 642円 | 8,183円 |
9位 | 神奈川県 | 1,847円 | 637円 | 8,217円 |
10位 | 山梨県 | 1,763円 | 650円 | 8,263円 |
11位 | 和歌山県 | 1,972円 | 638円 | 8,352円 |
12位 | 高知県 | 1,978円 | 642円 | 8,398円 |
13位 | 三重県 | 1,901円 | 663円 | 8,531円 |
14位 | 愛知県 | 1,865円 | 668円 | 8,545円 |
15位 | 大分県 | 1,877円 | 670円 | 8,577円 |
16位 | 熊本県 | 1,781円 | 680円 | 8,581円 |
17位 | 滋賀県 | 1,932円 | 665円 | 8,582円 |
18位 | 静岡県 | 1,879円 | 672円 | 8,599円 |
19位 | 徳島県 | 1,997円 | 661円 | 8,607円 |
20位 | 鹿児島県 | 1,654円 | 697円 | 8,624円 |
21位 | 岐阜県 | 1,909円 | 682円 | 8,729円 |
22位 | 福岡県 | 2,034円 | 675円 | 8,784円 |
23位 | 愛媛県 | 1,954円 | 684円 | 8,794円 |
24位 | 宮城県 | 1,828円 | 706円 | 8,888円 |
25位 | 宮崎県 | 1,803円 | 709円 | 8,893円 |
26位 | 長崎県 | 1,857円 | 704円 | 8,897円 |
27位 | 京都府 | 1,975円 | 695円 | 8,925円 |
28位 | 広島県 | 1,946円 | 698円 | 8,926円 |
29位 | 香川県 | 1,932円 | 700円 | 8,932円 |
30位 | 兵庫県 | 2,044円 | 691円 | 8,954円 |
31位 | 長野県 | 1,840円 | 713円 | 8,970円 |
32位 | 新潟県 | 1,975円 | 702円 | 8,995円 |
33位 | 佐賀県 | 1,961円 | 708円 | 9,041円 |
34位 | 岡山県 | 2,026円 | 713円 | 9,156円 |
35位 | 福井県 | 1,893円 | 731円 | 9,203円 |
36位 | 福島県 | 1,860円 | 736円 | 9,220円 |
37位 | 石川県 | 1,949円 | 751円 | 9,459円 |
38位 | 山口県 | 2,091円 | 741円 | 9,501円 |
39位 | 鳥取県 | 2,012円 | 764円 | 9,652円 |
40位 | 富山県 | 2,099円 | 768円 | 9,779円 |
41位 | 島根県 | 2,127円 | 770円 | 9,827円 |
42位 | 秋田県 | 1,953円 | 794円 | 9,893円 |
43位 | 山形県 | 1,949円 | 805円 | 9,999円 |
44位 | 岩手県 | 2,021円 | 810円 | 10,121円 |
45位 | 青森県 | 1,987円 | 830円 | 10,287円 |
46位 | 北海道 | 2,170円 | 874円 | 10,910円 |
全国平均 | 1,916円 | 697円 | 8,887円 |
東京都が一番安く、北海道が一番高いという結果になりました。
北海道は、土地が広大な為、「プロパンのボンベの運搬費」がかかる上に、「都市部を除き住宅が密集していない」など、コストが割高になってしまう為金額が高くなってしまうようです。
逆に、都市ガスの普及率の高いエリアは、プロパンガスの金額も安い結果になっています。
都市ガスよりもプロパンガスの方が安い場合もある
ちょっと意外かもしれませんが、都市ガスよりも料金の安いプロパンガスの会社も存在します。
賃貸マンションやアパートなどでは、貸主(大家さん)の意向により都市ガスからプロパンガスに切り替えを行う場合があります。
その場合、都市ガスからプロパンガスに変更すると現在の入居者からクレームが来ることがある為、都市ガスと同額もしくは、少し安くガス代が設定される場合があります。
ですが、そのことは実際にガス切り替えを行った、貸主(大家さん)や不動産会社しかわからない為、webなどでガス代が安い物件を調べる事は出来ません。
気に入った物件がプロパンガスで料金が気になる場合には、直接プロパンガスの会社に連絡して聞いてみるか元付業者に確認してみましょう。
まとめ
生活する上で、光熱費などのランニングコストは出来るだけ抑えたいものです。
ですが、部屋探しをする上でコストを気にするあまり「都市ガス限定」で部屋探しをすると物件の選択肢が減ってしまうことは間違いありません。
また、東京や大阪など都市ガスの整備が整っている地域であれば問題ありませんが、都市ガスの普及が進んでいない地域であれば、より部屋探しが難しくなってしまいます。
プロパンガスが高くないエリアでは、部屋探しの時にガスの種類にそこまでこだわる必要はありませんが、都市ガスとプロパンガスの価格差が大きい地域やプロパンガスが高い地域であればガス会社の検討が必要です。
上記、ランキングエリアで高い地域にあてはまる方は、慎重に物件を選びましょう。
また、料金が安いプロパンガスの物件などもあります。
全ての不動産会社や営業マンが知っているわけではありませんが不動産会社にしかわからない情報もありますので、気に入った物件がプロパンガスであった場合は、相談してみると良いでしょう。