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【不動産投資・収益物件】【不動産購入】競売物件購入時に知っておきたい競売3点セットとは

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競売物件の取得で重要な3点セットについて知ろう

競売物件を購入する際に「競売3点セット」を知らなければ始まりません。

競売3セットの内容を詳しく知り競売物件購入に役立ててください。

競売3点セットとは

競売3点セットとは「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3つの書類のことを指します。

競売物件は「不動産鑑定士」が対象物件を調査し評価額を設定し、裁判所は、「不動産鑑定士」から提出された評価書をもとに売却基準価格を設定します。

そうして決定した売却基準額や物件の概要などを、買受希望者に閲覧してもらうために競売三点セット(物件明細書,現況調査報告書,評価書)が作成されます。

また、この「競売3点セット」は裁判所の競売物件閲覧室および不動産競売物件情報サイトBITシステム(インターネット上で資料を閲覧できるサービス)で、原則として誰でも自由に閲覧することができます。

物件明細書とは

物件明細書は,裁判所が現況調査報告書(執行官が物件の占有関係等について調査した報告書),評価書(不動産鑑定士から選ばれた評価人による物件の評価額,計算過程を記載した書面,申立債権者から提出された資料等)を検討して,物件の表示・買受人が引き受
ける権利関係等の概況を記載したものです。

内容の詳細としては、①不動産の表示 ②売却により成立する法定地上権の概要 ③買受人が負担することとなる他人の権利 ④物件専有状況等に関する特約事項 ⑤その他買受人の参考になる資料となります。

物件明細書は、競売3点セットのうちもっとも重要な書類になります。

物件明細書とは、競売物件の権利関係など、目的不動産に関する情報を裁判所書記官が記載したものです。

各欄にコメントが書いてありますが、これは裁判所による所見です。

また、物件明細書はあくまで調査書であるため、絶対的なものではありません。

稀に誤りがある場合もありますので注意が必要です。

不動産の表示

「物件明細書」の不動産の表示欄には、別紙物件目録参照と記載されている場合がほとんどです。

別紙物件目録には土地の場合には「物件の所在地(住所)」「地番」「地目」「地積」が記載されています。

また、建物の場合には、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」などが記載されており土地と建物であれば両方の情報記載がされています。

売却により成立する法定地上権の概要

競売により、建物と、その敷地の所有者が別人の場合、競売になっている建物、あるいはその敷地に建っている競売になっていない建物がその敷地を利用する権利(法定地上権)があるのかを判断して記載しています。

私も、この欄に記載されている項目を全て見たことはありませんが「競売ファイル・競売手続き説明書」によると5つのパターンで書かれているようです。

①売却対象外の土地(地番〇番)(の一部)につき、本件建物のために法定地上権が成立する。

意味としては、売却対象外の土地(競売にかかっていない土地)に本件建物(競売になる建物)が建っているので法定地上権が成立しますということです。

②上記法定地上権は、土地の平成〇年〇月〇日付抵当権設定登記に後れる。

売却対象(競売にかかっている建物)のために法定地上権は成立しますが、敷地に先順位の抵当権設定があるため買受人は敷地の抵当権者に法定地上権を主張することはできません。

その結果、敷地が競売されると法定地上権が売却によって消滅し、本件建物を収去(取壊し)しなければならなくなる可能性があります。

売却対象である本件建物のために法定地上権が成立しますが,敷地に先順位の抵当権設定登記があるため,買受人は敷地の抵当権者に法定地上権の成立を主張することができませんその結果,敷地が競売されると法定地上権が売却によって消滅し,本件建物を収去(取壊し)しなければならなくなる可能性があります。

ポイント

法定地上権が成立するには「抵当権を設定したときに建物が存在していた」という事実がある必要があります。

土地に抵当権を設定してから建物を建てた場合、土地が競落されても法定地上権は成立しません。

建物を収去して土地を明け渡す必要があります。

実際、土地に抵当権を設定した当時に建物が存在しなかったことで、法定地上権の適用が認められなかった判例も存在します。

③本件土地(の一部)につき、売却対象外の建物(家屋番号〇番)のために法定地上権が成立する。

売却対象外建物のために売却対象である本件土地に法定地上権が成立して,本件土地を買い受けても法定地上権が続く間は買受人は土地を自ら利用できません。

ただし,借地人に対し地代を請求することはできます。

本件土地(の一部)につき、売却対象外の建物(家屋番号〇番)のための法定地上権の成否は不明であるが、これが成立するものとして売却基準価格が定められている。

現況調査等によっても,法定地上権が成立するかどうかが不明の場合もあります。

上記の記載は,このような場合でも買受人が不測の不利益を被らないために,法定地上権が成立することを前提として執行裁判所が売却基準価額を定めたという意味です。

⑤この欄に「なし」と記載してあるもの

建物と土地を同じ買受人(落札者)が購入する場合には法定地上権は存在しません。

競売物件においては、この「なし」と記載している物件を選ばなくてはいけません。

買受人が負担することとなる他人の権利

買受人が負担することとなる他人の権利とは、売却対象(競売にかかっている建物)に賃借権などの権利が設定されている場合に記載されます。

主に、アパート・マンションなど賃貸物件に設定されている場合が多く、この欄に「賃借権」などの記載がある場合、仮に落札した場合でも、現在の入居者の使用を認めなければいけなくなります。

この欄が「なし」となっているものであれば、落札後に入居者に退去を促すことが出来ます。(6ヶ月間の猶予期間が存在する)

もちろん、現入居者にそのまま住み続けてもらうことも可能ですがその場合は現入居者と新たに賃貸借契約を結び直す必要があります。

現況調査報告書とは

現況調査報告書とは、裁判所執行官が、実際に競売する物件(建物・土地)などを調査した上で物件についてまとめた報告書になります。

記載されている項目は以下の通りです。

ポイント

・住居表示
・地目(土地の場合)
・土地の形状
・建物の間取り図など(簡易的なもの)
・占有者及び専有状況
・建物構造
・付属設備
・登記簿上の面積と相違がないか
・執行官保管の仮処分の有無
・関係者の陳述書
・執行官の意見
・その他必要事項

上記のように物件を判断する為の材料が多数揃っていますおり、土地・建物の写真も載っているものもあります。

また、関係者の陳述書には、建物であれば現在の使用状況や使用人数、建物に不具合がないか、土地であれば、近隣との境界の件に関しても記されています。

関係者とは、競売にかけれた建物や土地の所有者や代理人などが関係者となります。

現況報告書をみて競売の購入をする(競売に参加)場合には、現地へ出向き建物外観や土地などもしっかりと見て判断する必要があります。

現況調査報告書の見本はこちらから

評価書とは

評価書とは評価人である不動産鑑定士が作成した書類になります。

評価書は不動産鑑定士が競売物件の建物や土地の基準額を設定した根拠が記載されています。

評価書の見本はこちらから

注意点

競売物件を購入する上で最も注意したい点は「法定地上権」や「賃借権」などの権利関係です。

特に、法定地上権は複雑ですので素人が簡単に手を出すものではありませんので、「法定地上権」系の権利関係が設定されている場合には購入を見送るか専門家に相談した方が良いでしょう。

また、投資用の物件で競売物件を落札しようとしている場合や、再販などで現入居者に出て行ってもらう場合、仮に現入居者が退去しない場合には、明渡訴訟などの費用は買受人が(落札者)が支払わなければなりません。

そういったリスクも踏まえて入札を検討してください。

まとめ

競売物件を購入希望する上での重要資料「競売3点セット」はご理解頂けましたでしょうか?

重要な事項が記載されており、購入するかの重要な判断を下す書類であることがわかっていただけたと思います。

ですが、競売は一般の売買と違いいくら、3点セットのなかに記載があった場合でもその保証は発生しません。

あくまで参考資料として判断する必要があるとともに、競売には上記のようなリスクも存在する事も覚えておいてください。

  • この記事を書いた人

なべやん

不動産会社勤務 今年で20年目です。
・宅地建物取引士
現在に至るまで店舗責任者として5,000件以上の賃貸物件の入居者を斡旋に携わる。 現在は、主に投資用物件の売買を行っています。

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