不動産投資

賃貸 広告料ADの適正価格と効果は?? 賃貸経営の上で重要なADについて解説します

不動産広告料(AD)とは

大家さんや不動産会社では当たり前に使う「AD」という言葉。一般の方にはあまり知られていませんが不動産業界には広告料(AD)というものが存在します。

賃貸募集をするにあたり、「AD」はとても重要な要素です。ADを知る知らないでは入居率にも大きく影響します。大家さんはADの使い方を正しく理解して有効活用する必要があります。

今回は、賃貸募集において重要となる「AD」について詳しく解説します。

不動産広告料(AD)とは

ADとは「advertisement(アドヴァタイズメント)」の略で、「広告料」とも呼ばれてれています。
広告料とは、物件の募集を行う際に大家さんや管理会社などが客付け業者に支払う金額です。

ですが、実際には広告料(AD)とは名目上の言葉で仲介業者の売上となる部分の1つです。また、大家さんにとっては空室対策の為の施策のひとつとなります。

ADの相場とは?

ADの相場は、募集賃料の1ヶ月~3ヶ月が多いです
大家さんや管理会社によっては募集時期や空室の長さによってADの額を変動させる場合もあります。入居希望者が多く動く繁忙期や人気物件であればADの額を少なくする。閑散期や長期空家の物件などはADの額を高くするケースが多いです。
また、ADの額を一律にすることで客付け業者は物件の紹介をしやすくなります。
賃貸専門の不動産会社は常時1,000件以上の物件を取り扱っています。
営業マンはすべてのADを把握していない為、ADが出たりでなかったりする物件よりも必ずADが付いている物件を好みます。
その為、ADを変動されるよりも常に一定の方が紹介頻度は上がります。

地域ごとのAD事情

本来、ADは立地や設備などの条件が劣る「人気の低い物件」を早期に客付するための手法として、大家の間で用いられてきましたが、近年では賃貸物件の供給過多によって、空室が増加傾向にあるため、ADを出す大家がとても増えています。

特に大家が不動産会社だったりすると、ADを積極的に出して早期に空室を埋めようとする傾向が強いため、ADを知らない個人大家の空室だけが取り残される傾向にあるのです。

地域ごとのADの額

ADの額は地域ごとに異なります。

画像引用 株式会社ウチコミ 賃貸募集時の広告料(AD)についての意識調査を実施  ~都道府県別の広告料(AD)平均マップを公開~

関西地区はADが高く、関東は1ヶ月分が主流のようです。
また、東北地方も比較的高いようです。
不動産業界では北海道の物件はADが高いと言われています。
なかにはADを5ヶ月以上出す物件もあると聞いた事があります。

ADの効果

実際のADを支払うことによりどのような効果があるのでしょう。

紹介頻度が上がる

客付け業者は来店されたお客様に、家賃、場所、間取、希望条件などを聞いたうえで条件にあった物件を紹介します。
来店するお客様はインターネット等で希望物件を探し来店されますが客付け業者は、来店したお客さんから希望を聞き物件を紹介します。この際に、まずADが出る物件からお客さんに紹介します。

ADが出ない物件は、お客さんの条件に合っていても紹介されない場合もあります。
1件の契約単価が上がる方が不動産会社によって都合が良いからです。
ADを出すことで紹介頻度が増えて成約になる確率が上がるという事です。

決定率が高くなる

客付け業者の営業マンは営業成績によりインセンティブをもらえる事があります。
また、当然月のノルマも存在します。営業マンは売上を上げるために1件の契約単価を高くしなければいけません。
ADがある物件を契約出来ればADがない物件を契約するより効率的に売り上げを上げる事ができます。

ADがない物件を契約した場合の売上は仲介手数料分になります。
例えば70,000円の物件を契約した場合には70,000円+消費税で77,000円が売上となります。しかし、ADが1ヶ月ある物件の場合はこれに70,000円が加算され147,000円の売り上げになるわけです。

また、ADがある物件であればお客さんの交渉にも乗りやすくなります。

例えば、お客さんが初期費用の値引きの交渉をしてきたとします。
値引きをすれば契約になりそうな場合、ADがあればお客さんから頂く仲介手数料を値引きして契約をしたりすることもできます。
ADがない物件で仲介手数料の値引き(半額)にした場合には38,500円の売り上げにしかなりません。ADがあることで最後の一押しが出来ることもあります。

地方の物件は特にADが必要

地方の物件はよりADが重要となります。
なぜかいうと、都心に比べて家賃が安いからです。
営業マンの1ヶ月の契約数は10件前後になります。

都心であれば家賃が高い為、もらえる仲介手数料も高くなります。
仲介手数料は宅建業法で家賃の1ヶ月分+消費税と決められておりそれ以上は頂けません。
地方では平均の家賃が5万円位になりADがない物件を10件契約しても50万円の売り上げにしかなりません。
不動産会社は、営業一人当たり120万円ほどの売上を上げないと赤字になってしまいます。
その為、ADがつかない物件は基本的には紹介されなくなってしまうのです。

ADの金額の決め方

ADの金額はどのようにして決めればいいのでしょう?

ADを出すという事は出費がかかるという事です。
新築物件や相場よりもかなり安い物件などはADがなくても成約になるでしょう。
しかし、長期空室が出てしまうような物件はADを出さなければ制約になりづらいのは事実です。ではどのようにADの金額を決めればよいのでしょうか?

ADありとADなしの物件で検証する

ADの適正金額は非常に難しいです。
現在2部屋以上の空き部屋がある大家さんはADあり、ADなしの部屋を作ってみるのも良いでしょう。
例えば202号室と303号室に空きがあり202号室はADあり303号室はADなしにしてみて
成約の日数調べてみましょう。ADありの物件の方が早く決まればADの効果があったという事です。1ヶ月以上成約に差があった場合にはAD1ヶ月を出しても損にはなりません。
※但し、この方法は部屋に差がある場合は使えません。
1階よりも2階の方が人気がありますし、中古物件ではリフォーム度合いによっても差が生じてしまいます。なるべく同条件の部屋で検証する必要があります。

物件の平均空室期間を知る

そこで、ADの金額を決める際には「平均空室期間」を知ることです。
自分の物件の平均空室期間が3ヶ月でADを1ヶ月出したら空室期間が1ヶ月になった場合であればADを1ヶ月で設定すればいいという事になります。また、ADは経費で落とせますので2ヶ月出しても得になるという事です。

ADとフリーレントの組み合わせ

フリーレントとは期間を決めて家賃を無料にする事です。(front free rent)の頭文字をとり業界では「FF」とも呼ばれています。

「FF」と「AD」を組み合わせると非常に効果的になります。
例えば、AD2ヶ月分フリーレント可とします。
意味としてはADとして2ヶ月分支払うのでこれで成約に結び付けてください」という事です。
すると営業マンはお客様の状況をみながらADにするかフリーレントにするかの判断をします。
サービスをしなければいけないお客様にはフリーレントを使う、サービスをしなくても成約しそうなお客さんであればADにする。営業マンに裁量を与えるイメージです。
最後の切り札としてフリーレントを提示できるこの方法は成約率がぐっと上がります。

ADはしっかりと使われている

不動産会社の1店舗当たりの広告宣伝費は、昔とは比べ物にならなく高くなっています。
1店舗当たり、月額数百万円の広告費を支払う不動産会社もあります。
成約した大家さんからを頂くADのほとんどは広告業者に支っているのが現状です。
広告料がなければほとんどの客付け業者は店舗運営が難しいのです。

ADを出す場合の客付け業者との契約

本来、宅建業法により客付け業者が受け取れる仲介手数料は貸主、借主合わせて賃料の1ヶ月+税となっています。

ADは宅建業法上はグレーゾーンと言われおり可否が問われています。

実務上、特別に広告やコンサルティングに対する対価になるものですので本来は個別に契約をする必要があります。特別広告宣伝契約をすることが望ましいです。

まとめ

ADは使い方次第では大家さんの空室を無くすための有効な手段になります。一方、使い方を誤れば大きな出費になり賃貸経営を圧迫するものになってしまいます。今回の記事を参考に適切な金額を設定して満室経営を目指してください。

 

 

  • この記事を書いた人

なべやん

不動産会社勤務 今年で20年目です。
・宅地建物取引士
現在に至るまで店舗責任者として5,000件以上の賃貸物件の入居者を斡旋に携わる。 現在は、主に投資用物件の売買を行っています。

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