【不動産投資】競売物件落札までの手順を簡単にまとめました。
不動産競売の歴史は古く、明治31年に競売法という法律が存在しておりました。
バブル期崩壊後に、不良債権処理で大都市圏を中心に競売申立てが急増しました。
当時、競売所には一般人はほとんど参加しておらず、暴力団や競売屋などが多くいたと言われ最低価格での落札が多く散見されていたようです。
このころから、競売屋などに交じり競売で物件を増やしてきた方はおそらく多額の利益を得ているでしょう。
前おきはこのくらいにしておき、今回は「不動産投資」を行う上でチェックしておきたい、競売物件の落札手順に関して説明致します。
現在の競売は、落札に不動産会社も参入しておりますが、それでも一般の物件を購入するよりは安価で物件が購入でき競売物件は是非とも抑えておきたいひとつです。
この記事を読むと
・競売とは何かがわかります
・競売の落札手順がわかります
・競売物件の注意点がわかります
そもそも競売物件とは・・・
そもそも競売物件とは、金融機関から借入をし不動産を購入した方がその後、返済が出来なくなってしまった物件を裁判所が競売手続きをし、売却が決まったものになります。
金融機関は、不動産購入する方に貸し付けしたお金の担保のような形で「抵当権」を設定します。
「抵当権」とは、簡単に言うと、貸したお金を回収する為に金融機関が設定する権利になり、債務者が返済が出来なくしてしまった場合に抵当権を実行することによって不動産を売却してお金に換える事が出来きる仕組みです。
競売物件は「不動産鑑定士」が対象物件を調査し評価額を設定します。
裁判所は、「不動産鑑定士」から提出された評価書をもとに売却基準価格を設定します。
また,買受希望者に閲覧してもらうための三点セット(物件明細書,現況調査報告書,評価書)を作成します。
このような手順を踏んで売りに出される物件の事を競売物件と言います。
競売物件の落札までの流れ
次に、競売物件を落札するまでの流れを見ていきましょう。
競売を購入する側(入札者)の流れとしては「不動産の選択」→「不動産の調査」→「入札」→「代金納付」→「引渡し命令」→「不動産の引き渡し」と言った流れになります。
詳しくは下記の図を参照ください。
裁判所競売手続きから引用 不動産競売手続について | 裁判所 (courts.go.jp)
不動産の選択
通常の売買のように、まずはどの物件を購入するのかを選ばなくてはいけません。
競売物件は通常のポータルサイトで見る事は出来ず、競売物件の専用サイトを利用する事になります。
不動産競売物件情報サイトや981.jpや競売・公売.comなどを利用して物件を検索しましょう。
他にも所轄の裁判所の閲覧室などで調べることも可能です。
不動産の調査
まずは。競売3点セットを取得することからはじまります。
競売3点セットとは「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の事をいい、執行官、評価人(不動産鑑定士)が裁判所に提出する書類になります。
競売対象物件の詳細が記載されている書類になり購入を判断する上で重要な書類になります。
一般の物件でいう「重要事項説明書)のような役割を果たします。
入札
入札を行うにあたり、入札に必要な書類を揃える必要があります。
入札に必要な書類は下記の書類になります。
必要書類
①入札書
②暴力団に該当しない為の陳述書
③入札保証金振込書
④添付書類
これらの書類は、入札したい物件を管轄している裁判所から入手することが出来ます。
また、入札に参加しようとする方は、資力等を保証するために、入札参加者から裁判所が定めた最低売却価格の20%に相当する金額を入札期日の最終日までに裁判所の口座に入金しなければなりません。
代金納付
晴れて競売物件をし売却許可決定が確定しますと、確定日から約2週間ほどで買受人に代金納付期限通知書が届きます。
代金の納付期限が定められていますので代金納付期限までに必ず納付してください。
期限内に納付しないと売却許可決定の効力を失いますし、入札保証金も返却されません。
引渡し命令申し立て
競売物件の代金の納付が行われると、裁判所書記官は所有権の移転登記を行います。
「買受人の所有権移転登記」「抵当権の抹消登記」「差押え登記の抹消」などが行われ一連の登記手続きを法務局にお願いする事になります。
通常、代金納付を行った地点から所有権が移転したものと考え既に空室の物件であれば中へ入る事は可能です。
落札した物件が投資用の一戸建てなどの場合、落札した不動産に人が住んでいたり,家具などの動産が置いてあったりする場合もあります。
その場合、相手方に不動産を引き渡すように命令を出す手続きが「引渡し命令」になります。
引渡し命令を出しても退去しない場合には、最終的には強制執行をすることができます。
1棟マンションやアパートなどの物件では、現在賃貸している方に通知を出すなりして所有者が変わった事を伝えます。
これからの家賃の振込先が変更になる旨などを通知する必要があります。
また、現在入居中の方に退去してもらいたい場合には退去してほしい旨の通知をだしますが入居者には退去するまでに6ヶ月間の猶予期間が法律で設けられています。
不動産の引き渡し
競売で落札した物件の引き渡しは通常の売買とは異なる場合が多く、鍵などを受け取れない場合がありますので注意が必要です。
例えば、1棟の収益マンションやアパートを落札した場合には、管理会社があれば不動産管理会社から鍵などを受け取ることになります。
また、管理会社に鍵を預けていない場合には、前所有者に掛け合う必要がありますが鍵の受け取りが出来るかの保証は出来ません。
鍵が必要な場合には、落札者負担にて用意する必要があります。
建築確認証なども前所有者からもらうことになりますが、もらえない場合も多々ありますので注意が必要です。
前項で記載した通り、一戸建てを購入した場合には、落札した不動産に人が住んでいたり、家具などの動産が置いてあったりする場合があります。
現在、不動産に人が住んでいる場合にはその方に退去してもらう日程の打ち合わせなどや鍵の引き渡しの話もしなくてはいけません。
ですが、当然次に住む所が決まっていない方がほとんどである為、期限を設ける必要があります。
期限を守らずに退去しない場合は強制執行の手続きを取る必要があります。(落札者負担です)
競売物件購入時の注意点
現在の競売物件は、市場の購入価格よりの70%程度で購入可能と言われています。
割安で購入できるかわりにいくつか購入する前に知っておかなければいけない注意点がありますので説明します。
物件の内見ができない
一般の物件では、通常内見が可能ですが競売物件の場合には物件を内見することが出来ません。
※1棟マンションやアパートで満室物件の場合は内見出来ません。
外観や周辺環境などは現地を確認することでわかりますが、室内の状況などは競売3点セットの中にある「現況調査報告書」にある写真で判断することになります。
物件によっては室内の写真などがない場合もありますのでその場合には室内の判断が出来ずに購入することになります。
ポイント
1棟マンションやアパートなどは室内が見れなくても物件名で検索するばネット上に以前募集されていた部屋の室内写真などが残っている場合もあります。
契約不適合責任がない
通常の売買契約においては、建物に欠陥や不具合があった場合に購入後、売主に責任を追及する事ができますが(契約不適合責任)、競売物件の場合は落札後に欠陥や不具合があった場合でも前所有者に責任の追及をすることができません。
契約不適合責任の例としては、雨漏りやシロアリだったり設備の不具合などがあります。
競売物件を購入する際には、購入後不備があっても自分で修理対応しなければいけないことを確認しておきましょう。
立ち退き交渉などは自分で行う
前項にも記載しましたが、落札後に不動産に人が住んでいる場合には立ち退き交渉を自分でおこなわなければなりません。
また、立ち退きの要求をしても退去しない場合には強制執行の手続きが必要になります。
その際にかかる費用は落札者の費用負担となりますので、競売物件を購入する場合には最悪、強制執行代金の費用も計算して購入することが必要になります。
入札保証金の返還
入札時に支払いした入札保証金は、落札出来なかった場合には、落札者(買受人)が決まった後に、「入札保証金振込証明書」に記載した口座に1週間程度で返金されます。
ですが、物件を落札した場合(買受人)となった場合には、指定された残代金を期日内に納付しなければいけません。
納付期日までに、購入資金不足などで支払いが出来なかった場合は、入札保証金は没収されてしまいます。
競売代行会社も存在する
競売で物件の落札するには、ある程度の経験が必要になります。
また、前項にも記載した通り落札後の手続きが非常に複雑で面倒になってきます。
競売物件に興味があるけれども入札の手続きや落札後の手続きが面倒と言う方には競売代行会社を利用するという方法もあります。
私の会社でも行っておりますので、興味のある方はお問い合わせください。
まとめ
不動産投資を行う上で、市場の7割程度で購入できる競売物件は魅力があります。
不動産投資を行っている方の中には競売物件を専門に購入している方も多く、古くから競売物件をはじめて数億円の資産を築いた大家様にお会いしたことがあります。
私自身も、自社で競売物件を購入しリフォームして販売する「買取再販」を行っており年間数十件との販売を行っております。
最近は、不動産会社の参入が多く落札出来る価格はひと昔前と比べて高くなってきています。
それでも、一般の売りたい方から購入するよりはかなり割安で仕入れることが可能な為、自社でも積極的に行っているのは事実です。
競売の注意点をしっかりと把握した上で購入する事で、通常で購入するよりも利益が取れるのが競売物件の魅力です。