賃貸物件を申し込んだ後のキャンセルは可能なの??
部屋を申し込んだ後に、急な予定変更や都合のなどでキャンセルしたい場合があります。
しかし、申し込みとは契約行為の一部である為、キャンセル出来る場合と出来ない場合が存在します。
また、不動産会社によってキャンセルの考え方が異なる為、一概には言えませんがキャンセルが可能なラインは存在します。
今回は、どのような場合がキャンセル可能なのか、また、キャンセルをした場合のデメリットなども含めて解説していきたいと思います。
この記事を読むと
・部屋のキャンセルが可能なタイミングがわかります。
・キャンセルをする際のデメリットがわかります。
・キャンセルをした際に起きる可能性がある費用がわかります。
・部屋の契約についての知識が身に付きます。
契約成立の大原則
まずは、契約行為の原則のお話しからさせて頂きます。
「契約の成立のタイミング」は民法により定められています。
気に入った物件が見つかって入居申込をする場合には、お客様はこの部屋を借りたいという意思を示すことになります。
民法上では、お部屋を借りたいとお客様の意思表示があり、貸主がそれを受領したタイミングで契約が成立となります。
つまり、お客様が入居申込書を記入して、貸主(大家さん)が承諾した地点で民法上では契約が成立したという考え方になります。
民法522条参照
1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
上記の通り、民法上では契約書があるかないかは関係なく、口頭であっても借りたい意思と、貸したい意思の表示があった地点で契約は成立となります。
では、実際の賃貸の現場でのルールはどのようになっているのでしょうか?
実際にはお部屋申込後のキャンセルって出来るのか
結論から言うとお部屋のキャンセルは可能です。
ですがキャンセルのタイミングによって違約金などの金額が発生する場合があります。
お部屋を借りる場合の契約は下記のように契約が進んで行きます。
図の通り、契約書に記入、押印前であればキャンセルが可能になるケースが多いです。
キャンセル可能なタイミング
賃貸契約書を結ぶまではキャンセル可能。
賃貸契約をしてしまってからはキャンセル不可。
重要事項説説明が完了した際には、この内容を理解しましたという意味で、署名、捺印を頂く事になります。
重要事項説明書の特約などにキャンセルした場合には費用がかかるなどの記載がある場合には、そちらも承諾しましたということになりますので契約書に署名、捺印前でもキャンセル料がかかってしまいます。
お部屋を借りるまで重要事項説明は契約の大切な部分を抜粋してあり、不利な条件などがある場合には当然キャンセルも可能です。
重要事項説明書は契約書と同じくらい大切な書類になりますので、しっかりと説明を聞いて納得した上で契約を締結して下さい。
重要事項説明で確認するポイント
重要事項説明とは宅地建物取引業法第35条に基づき、不動産の取引にあたり重要な部分を抜粋して「宅地建物取引士」が説明をしなければならないものです。
契約に関して大切な部分が記載されています。
賃貸の場合に説明する項目は下記の項目になります。(説明が必要な部分の一部を抜粋)
項目 | 内容 |
---|---|
物件の名称・所在地 | 賃貸物件の正確な名称と住所 |
賃料 | 賃料の金額、支払い方法、滞納時の遅延損害金についての説明 |
敷金/保証金 | 敷金・保証金の金額、返還時期、引かれる可能性のある費用等についての説明 |
契約期間・更新条件 | 契約期間の期間、更新条件、解約に関する規定についての説明 |
使用用途 | 物件の使用目的、使用方法、禁止事項等についての説明 |
家主や管理の委託先 | 家主の住所・氏名 建物を管理している管理会社の名称・住所等 |
設備の詳細 | 部屋に付帯している設備の説明 |
ライフラインの情報 | 電気・ガス・水道などの会社と連絡先 |
その他法令に関する事項 | 土砂災害警戒区域などの区域の説明や水防法の説明など |
その他の規定 | 物件での決まりと等を特約にてまとめる |
特約事項 | 契約に関しての特約事項等のっ記載 |
重要事項説明で内見の時に事前に説明を受けていた事と相違がある場合などは確認しましょう。
民法の原則では審査が通った場合に契約が成立となりますが不動産の契約の場合は高額な金額が動くため重要事項説明をきちんと行ってからではないと、借主に不利な契約になってしまう可能性があります。
入居審査後、重要事項説明をしないでキャンセル料などを請求してくるような不動産会社は現在ではあまり存ないと思います。
重要事項説明と契約書の記名・押印、契約金の支払いはセットで行われる場合が多いです。
この後にキャンセルをする場合には契約が完了したとみなされ通常解約になる場合が多いです。
上記はあくまで原則です。
申込書の中には審査完了後にキャンセルする場合には○○円必要ですと記載したものもあります。
申込後にキャンセルする際のデメリット
キャンセルは可能とはいえ不動産会社や大家さんには迷惑をかけることになります。
大家さんは申込が入れば他の入居希望者を断らなければいけません。
また、不動産会社は契約書類を作成したり、重要事項説明に記載する設備の内容などを間違いないように物件に出向きチェックをしたりします。
借主にはあまり実感が湧きませんが不動産会社からするとキャンセルは一大事です。
なかには貸主様からひどく怒られて損害を補填するように言われるケースもあります。
キャンセルして再度申込した物件が同じ不動産会社が取り扱う物件だった場合審査が通らなくなってしまう場合があります。
適当な気持ち申込してキャンセルばかりすると本当に借りたい物件が見つかっても断られてしまうケースもありますので申込の際には十分注意してください。
実際に起こった例外のケース
よほど悪徳な不動産会社でない限りは契約締結前まではキャンセル料などの支払いを請求してくるという事はないかと思いますが中には例外もあります
例外①(悪い例)
申込後、家主が承諾した旨を借主予定者(申込者)に連絡。
その後、借主からキャンセルの連絡が入り家主に連絡した所、民法522条を主張。契約成立後なので賃料の1か月分の違約金を請求。
不動産会社からの説得には応じず借主予定(申込者)相手に訴訟をするといい、裁判になるのを拒んだ借主予定者(申込者)は貸主の言い分である賃料の1か月分の支払いをする事になった。
例外2(悪い例)
申込後、家主が承諾した旨を借主予定者(申込者)に連絡。
申込時に借主予定者(申込者)から指示があった通りに和室から洋室に変更工事をする。
工事完了後に借主予定者(申込者)からキャンセルの連絡があり貸主はそれに係った費用を損害賠償として請求した。
例外3
実際に契約書類にサインして入金まで完了。
契約日をまつまでになったが急な転勤が決まり不動産会社に連絡する。
不動産会社も家主もやむを得ない事情と判断し契約を白紙、契約金を返金する。
まとめ
安易な申込は最終的に自分の首を絞めてしまう事になります。
実際に借りたいお部屋が見つかったら申込をしましょう。
また、どうしてもやむを得ない事情がありキャンセルになる場合にはできるだけ早くに不動産会社に伝えましょう。
また、キャンセルの理由が正当であれば良い不動産会社、大家さんは契約完了後でも返金してくれる場合もあります。
政党な理由であっても入居日が近くなればなるほどキャンセルは難しくなりますのでご注意を・・・