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土地購入時の流れと注意点を詳しく解説 購入までの8つのステップとは

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一般の方が土地を購入することは、人生の中でも数回しか経験しない出来事です。

ましてや、初めて経験する方がほとんどかと思います。

また、一般の方が土地を購入する場合のほとんどは、家を建てるための土地を探すことになるでしょう。

注文住宅を建てる場合には、まず土地探しから必要になります。

建替えや相続などであらかじめ土地を所有している場合を除き必ず土地を契約する必要があります。

今回は、土地探しをする上での注意点と引渡しまでの流れを解説していきます。

土地購入の流れ

土地を購入する際のおおまかな流れとしては下記の通りになります。

ポイント

①土地探し
②買付証明の提出
③ローンの事前審査
④売買契約
⑤ローン本申込
⑥金銭消費貸借契約(金消契約)
⑦決済・引渡し

①土地探し

住みたい場所(立地)選びには人それぞれのポイントがあると思います。

例えば、「周辺に買い物施設が充実している」とか、「駅まで近い場所がいい」など立地条件を重視する方もいれば、お子様をがいらっしゃるご家庭は「小学校・中学校の学区を重視」されたり、とにかく安い土地を探したいなど様々です。

ところで、みなさんは、「用途地域」という言葉をご存じでしょうか?

「用途地域」とは、計画的な市街化を形成するために、用途に応じて13の地域にわけられたエリアのことを言います。

簡単にいうと、この場所の土地には、こういった業種の施設を建てることが出来ますよとか、この場所は、どれくらいの規模の建物が建てれますよなど区分けされているのです。

この用途地域を無視して土地を購入してしまうと、後々後悔してしまう可能性があるので土地選びの際は十分に注意しましょう。

用途地域とは

用途地域は、「住居系地域」と「商業系地域」と「工場系の地域」の3種類からなり、それぞれを細かく分類して計13種類から成り立ちます。

住居地域系とは

13種類ある用途地域のうち、8地域は「住居地域」となります。
住環境を重視している為、大きな工場や商業施設を建てる事が出来ません。
また、建物の高さや建ぺい率、容積率が低く抑えられているエリアです。

商業地域系とは

13種類ある用途地域のうち、2地域が「商業系地域」となります。
主として店舗、事務所、商業などの利便を増進するための地域であり、 市街地の中心部や主要駅周辺などに指定され、オフィスビルが立ち並び、銀行・映画館・飲食店・百貨店などが集まります。
住宅は建てられますが、基本的には住環境が重視されることのない地域です。

工業系地域とは

13種類ある用途地域のうち、3地域が「工業系地域」となります。
主に工業の利便を図るために定めた地域で、危険性や環境悪化のおそれが大きい工場も建築できます。

用途地域を知る事で、トラブルの回避ができる

用途地域を知る事土地を選ぶ上で非常に重要になります。

例えば、住居系の用途地域であっても「第一種低層住居専用地域」と「第一種住居地域」では、建ぺい率や容積率が異なります。

同じ広さの土地であっても、敷地内に建てれる建物の敷地面積や床面積や高さの制限などが違います。

床面積の広い建物を建てるのであれば「第一種低層住居専用地域」よりも「第一種住居地域」の方が大きい建物を建てることが出来るのです。

また、工業系の地域であれば、大きな工場が建てることが出来るわけですから、工場からでる騒音や異臭などの影響が出る場合もあります。

用途地域を知る事で、住んだあとに後悔しないような土地選びをしましょう。

STEP②買付証明提出

気に入った土地が見つかったら、「買付証明書」を入れる必要があります。

賃貸でいう「入居申込書」のようなもので、売主にこの土地をいくらで買いたいですという意思表示のようなものです。

買付証明書は不動産会社によって名称が異なる場合があります。

特に、法的な拘束力はありません。

買付証明書に盛り込まれる項目は一般的に下記の通りです。

買付証明書に記載する項目

  • 購入希望金額
  • 物件情報(所在地や家屋番号、構造、面積など)
  • 手付金や中換金、残代金についての記載
  • 支払い方法
  • 買付証明書の有効期限(1~2週間程度が一般的)
  • 買主の情報
  • その他特約についての記載

上記項目のなかに「買主の情報」とありますが、この段階で本人確認書類の提出を求められることはありません。

また、買付証明書の提出の順番が早いからといって物件を確保出来るわけではありません。

人気のある土地の場合は、複数の購入希望者が買付証明を出す場合があり、売主は購入の金額が高い方など条件が良い方を選びます。

また、融資の事前審査が通っていないなどのケースなども売主に相手にされない場合があります。

なお、買付証明提出後にキャンセルすることも可能ですが、売主から売渡承諾書などが出た場合は、契約に進んで行きますので以後のキャンセルは損害倍書責任などを問われる場合があります。

STEP③ 融資の事前審査

土地を現金で購入する場合には必要ありませんが、多くの方は銀行などの金融機関から融資を受けて購入することになります。

その際に、金融機関から土地を購入する為に借入が可能か事前に審査を受けておく必要があります。

後で説明致しますが、そもそも売買契約書がないと融資実行の本審査が受けることが出来ません。

また、融資の事前審査が通らないと売買契約にもなりません。

売主や不動産会社は、融資がおりることがほぼ間違いない方との契約でないと時間の無駄になってしまう為、事前審査が通っていてはじめて「売買契約」のステージへと進みます。

STEP④ 手付金の支払い

手付金の支払いは、契約と同時もしくは事前に支払いする必要があります。

不動産業者によって異なりますが、一般的には売買契約を行う前に事前に不動産会社や売主に振込しておくことになります。

手付金の相場は、売買金額の10%前後が多いですが、特に金額に決まりはなく土地の購入であれば50万円から100万円ほど用意しておけば問題ない場合が多いです。

手付金の支払いの際に注意するべき点は2点あり「手付金は借入しないこと」「契約日よりあまりにも早く支払いしないこと」です。

事前融資が通っていた場合であっても、借入金があると本審査に影響を及ぼす恐れがある為、自己資金での支払いをすることが重要です。

売主や不動産会社の指定した手付金が用意出来ない場合は、買いを依頼している不動産会社に相談しましょう。

また、契約日のあまりに前に振込することも避けておいた方が良いかもしれません。

万が一、手付金を預けた不動産会社が倒産などしてしまった場合には、手付金がかえってこなくなってしまう可能性も0ではありません。

早くても契約日の1週間前位の支払いが良いかと思います。

また、契約日に手付金を受領する場合もありますので、地域の慣習や不動産会社の指示に従って下さい。

STEP⑤ 売買契約 重要事項説明

事前融資がおりて、手付金の準備も出来たらいよいよ売買契約になります。

不動産の取引をする際には、契約をする前に必ず「重要事項説明書」の読み合わせをします。

今回、契約する土地の詳しい内容や契約の詳しい内容など、取引するにあたり重要な項目を抜粋して買主に説明します。

これは、宅地建物取引業で不動産会社が義務付けられているものになります。

売主と直接の契約の場合を除き、不動産会社が介している場合は、契約前に必ず聞いてから契約書にサインする必要があります。

重要事項の説明を受けた後に、実際の契約書の内容も確認して、サインすると契約が完了となります。

ここでは、詳しくは触れませんが契約が締結された後にキャンセルをする場合は、手付金の放棄しなければいけません。

「重要事項説明」の際には、違約金などお金に関わる大切な説明もありますので、しっかりと聞くようにしましょう。

契約の際に、手付金以外の残金の支払いや固定資産税の清算の明細など、契約に必要な費用の明細も発行されますので確認が必要です。

手付金を支払いしていない場合は、この時現金、もしくは振込などで支払うことになります。

STEP⑥ 融資の本審査

契約が完了した後は、融資の本審査を行います。

事前審査に通っていれば、事前審査から本審査の間に借入や金融事故などがなければおおよそ審査は通ると思いますが、金融機関によっては「事前審査」は支店にて行われ「本審査」は本店で行われる場合も多くあり、事前審査に通っていたのに本審査が落ちてしまったなどの場合も稀に見かけます。

また、融資額が事前審査の額よりも多くなってしまう場合は審査がやり直しになってしまいますので、事前審査の段階で借入する金額よりも少し多い金額で審査の承認をもらっておく事もポイントです。

事前に必要な書類を確認しておきましょう。

不動産売買契約書に署名捺印をして正式に契約を締結したら、住宅ローンの本審査に進みます。

本審査で必要となる書類は、申込者本人の収入を証明や不動産売買契約書や登記事項証明書といった購入する予定の不動産に関する書類も求められるので用意しておきましょう。

STEP⑦ 金銭消費貸借契約(金消契約)

本審査が無事通過したら金融機関と「金銭消費貸借契約書」を取り交わします。

略して、金消契約(きんしょうけいやく)と呼ばれ、お金を借りた人は当初の目的どおりに消費して、借入額と利息を金融機関に返済するという内容の契約書です。

同時に、プロパーローンでない一般のローン契約の場合は、保証会社との保証委託契約も結ぶことになります。

ほとんどの方が、初めての契約ですので不安も多いとは思いますが、契約書にサインする前に不明な点や疑問点は必ず担当者に確認するようにしましょう。

STEP⑦ 決済・所有権移転・引渡し

金融機関と「金銭消費貸借契約書」を取り交わしたら最後に行われるのが「決済」になります。

多くは、融資を受ける銀行のブースを借りて行います。

売主、買主、不動産会社の担当、金融機関の融資担当と司法書士が同席します。

買主から売主へ残金の支払いが完了すると、所有権移転登記および抵当権設定登記を司法書士が行い晴れて土地があなたの所有物になるという流れです。

融資金額は一旦、買主の口座を経由してすぐに「売主」「不動産会社」など必要な金額が必要な場所に振込されます。

司法書士費用は、現金で授受される場合もある為確認しておくことが必要です。

注文住宅用の土地を購入する場合

注文住宅用の土地を探す場合には、建設メーカーにも土地の情報が揃っています。

建築メーカーは土地がなければ建物を建てる事ができませんので、土地の情報は常にチェックしています。

また、立地の良い土地であれば、あらかじめ建築メーカーが買い取りしている場合もあります。

注文住宅を建てるための土地探しであれば、不動産会社と住宅メーカー両方から探してみるのがおすすめです。

無料相談所の活用

注文住宅の無料相談所も活用する事をおすすめします。

みなさんは「建築条件付き土地」という言葉を耳にしたことはありますか。

他にも、「売建住宅」などとも呼ばれます。

建築メーカーは、自社で注文住宅を建築してほしいのであらかじめ需要の高いエリアの土地を購入しておき自分の会社で建てる事を条件に土地を売りますというものです。

各住宅メーカーごごとに、所有している土地が違うため、「無料住宅相談窓口」で相談することで、どの建築メーカーがどういった土地を持っているのかを知る事も可能です。

ですが、「無料住宅相談窓口」では、土地だけの情報は提供しません。

あくまで、注文住宅を建てる土地を探している場合に情報提供してくれることになります。

注文住宅用の土地を購入する場合の注意点

土地の価格は、不動産会社のアドバイスなどをして売主が最終的に決定します。

相場より安い物件が見つかったと思って急いで契約すると、あとで取り返しのつかないことになってしまう場合があります。

購入前に下記項目を必ずチェックしよう。

接道条件を満たしているか

敷地に建物を建てる場合には、「接道条件」を満たしていなければ建物自体を建築することが出来ません。

「接道条件」とは、敷地に建物を建てる場合に、建築基準法に定められた道路に2メートル以上接していなければならないという決まりのことです。

奥まった路地上の土地でも、道路に面する通路の間口が2メートル以上あることが求められます。

災害エリアでないか

土地購入の前に、ハザードエリアの確認もしておきましょう。

ハザードエリアとは、災害時に被害を受ける可能性のある場所です。

ハザードエリアの確認は、ハザードマップポータルサイトで確認可能です。

確認が必要なハザードエリア

・造成宅地防災区域
・土砂災害警戒区域
・津波災害警戒区域
・浸水エリア
・洪水エリア
・高潮エリア

確認しておくべきハザードエリアは上記が代表的なハザードエリアです。

その他、地盤などにも不安を感じる方は、購入前に不動産会社やハウスメーカーに相談することで実施することは可能です。

ライフラインが通っているのか

購入する土地に建物を建てる場合には、ライフラインが整備されている場所なのかを確認する必要があります。

ライフラインとは、上下水やガスなどのことをいい、購入予定の土地にこのライフラインがしっかりと整備されている場所なのかを確認しなければいけません。

例えば、建てた家のガスを都市ガスにしたい場合には、都市ガス菅が埋設されているのかどうかを、排水を下水にしたい場合には、下水道が通っているかなどなどの確認です。

契約時の重要事項説明では、このライフラインの説明はありますが、その時に都市ガスが通っていないエリアなどわかってもすでに手遅れです。

土地を紹介されたときに確認しておくことが必要です。

都市計画法の市街化区域と市街化調整区域

万が一の為にこちらの説明もしておきます。

都市を形成する上で、都市計画に必要な事項について定めた「都市計画法」という法律があります。

都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、土地利用や都市施設の整備、市街地の開発などに関するさまざまなルールが設けられています。

その中に、「市街化区域」と「市街化調整区域」があります。

市街化区域とは

すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義されています。

簡単に言うと、すでに市街地として栄えている地域や今後市街化が進められる地域 であり、先に記載させて頂いた「用途地域」はこの市街化区域内で設定されています。

市街化調整区域とは

無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときに定める区域区分のうち、市街化を抑制すべき区域として定める区域である。

簡単に言うと、市街化を抑制する地域です。

人が住むための住宅や商業施設などを建築することは原則認められていないエリアです。

購入する土地に建物を建てる場合には、市街化区域内の土地を購入する必要があります。

なぜなら、市街化調整区域は、原則建物を建てることが出来ないからです。

住宅建築の為の土地を探しているのであれば、市街化調整区域の土地の購入はやめましょう。

最後に

土地の購入手順ですがご理解頂けましたか?

購入の流れは、不動産会社や住宅メーカーの担当者が必ず教えてくれますので、購入する場合には指示に従って進めるようにしましょう。

住宅用地で土地を購入する場合には、建物の品質と同じくらい土地の場所は重要になります。

利便性を高めれば土地の価格は当然あがりますし、価格の安い土地は利便性が悪かったりします。

また、土地が近隣相場よりも明らかに安い場合には注意が必要です。

注意点に書いた項目をひとつづつ確認して、該当しなければ掘り出し物かもしれません。

本記事で記載したことがお役に立てば幸いです。

  • この記事を書いた人

なべやん

不動産会社勤務 今年で20年目です。
・宅地建物取引士
現在に至るまで店舗責任者として5,000件以上の賃貸物件の入居者を斡旋に携わる。 現在は、主に投資用物件の売買を行っています。

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